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中国の霊籤・薬籤集成

中国の霊籤・薬籤集成

おみくじの原型、中国寺廟の籤の分類集成。北京・台湾・香港等。民衆の吉凶観や薬方知識を示す、易学・道教・東洋医学の基本資料。

著者 酒井 忠夫
今井 宇三郎
吉元 昭治
ジャンル 民俗・宗教・文学
書誌・資料・写真
出版年月日 1992/06/18
ISBN 9784938718015
判型・ページ数 B5・558ページ
定価 本体8,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

一、霊籤

彙籥乾坤方寸土(東嶽霊籤 1)
聖人在位享昇平(丘祖霊籤 2)
團圓獨歩向関前(聖母霊籤 3)
巍巍獨歩向雲間(土地霊籤 4)
蛟龍逢春志願伸(福徳正神霊籤 5)
體本高貴犯天星(妙道真君霊籤 6)
體本高貴犯天星(老娘娘霊籤 7)
為人正直契神明(大興県城隍霊籤 8)
寶馬盈門吉慶多(浬濂●廟観音籤9)

 二、薬籤

既然得病求病痊(福徳正神籤 10)
脾弱天弔不出人(土地神籤 11)
積金積玉(天仙娘娘廟薬籤/男科 12)
血夲先天一主人(天仙娘娘廟薬籤/女科 13)
兒科夲無思(天仙娘娘廟薬籤/兒科 14)
●[火+土]心土鳳退(興済宮保生大帝籤 15)
大黄生黒丑(興済宮保生大帝籤/小兒科 16)
大黄歸尾赤芍(興済宮保生大帝籤/眼科 17)
蛤粉青黛(興済宮保生大帝籤/外科 18)
●[火+土]心土鳳凰退(五府千歳籤 19)
生大黄黒丑(五府千歳籤/小兒 20)
歸尾赤芍(五府千歳籤/眼科 21)
風葱鶏蛋売(北港朝天宮籤/大人科 22)
生大黄黒丑(北港朝天宮籤/小兒科 23)
大黄歸尾赤芍(北港朝天宮籤/眼科 24)
茯苓鳳退(文衡聖帝薬籤 25)
洋參白朮(新花鎮観音亭籤 26)
鳳凰退益母草(天福宮籤 27)
生大黄黒丑(天福宮籤/兒科 28)
南生大黄(天福宮籤/外科 29)
虔誠感格老仙靈(黄大仙良方/男科 30)
放開心事莫憂愁(黄大仙良方/婦科 31)
保赤心常赤(黄大仙良方/幼科 32)
淨鈎蝉退(黄大仙良方/眼科 33)
紅可驚心(黄大仙良方/外科 34)
勿藥有喜(呂祖仙方/男科 35)
坤厚載物(呂祖仙方/婦科 36)
神符一度(呂祖仙方/幼科 37)
無妄之疾(呂祖仙方/外科 38)
求得靈方第一枝(呂祖仙方/眼科 39)
天冬麥冬(観音大士霊方/簡便霊方 40)
金箔栢子仁(観音大士霊方/保嬰霊方 41)
當帰白芍(中港慈裕宮薬籤 42)

 三、付録

撃壌高歌作息時(関聖帝君聖籤考 付1)
報君何患恙深(呂洞賓真人神方占 付2)
七寳浮圖塔(延暦寺仏籤 付3)
七寳浮圖塔(元三大師百籤鈔 付4)

 四、解説

中国の籤と薬籤(酒井忠夫)
薬籤(吉元昭治)

霊籤・薬籤一覧表

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内容説明

おみくじの原型、中国寺廟の籤(せん)の分類集成。清末から現在まで、北京・台湾・香港等で広く収集した40余種3000余枚。民衆の吉凶観や薬方知識が系統的に示された、易学・道教・東洋医学の基本資料。


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はしがき 酒井忠夫


本書は、中国大陸・台湾及び日本で流通し、または典籍として刊行流布し、典籍に引用紹介された籤及び薬籤を、分類集成し、若干の解説を加えたものである。本書に収められた籤・薬籤は、今井宇三郎・酒井忠夫・吉元昭治の三名の収集したものである。


今井宇三郎氏は、戦前、日本各地の寺院・神社から籤を広く集めた。それらは仏籤と神籤とに分けられるが、叡山の仏籤、元三大師百籤が基本となって各地の寺院に伝わり、さらに神道(日本)風に形・中身ともに変えて各地の有名神社で行われている。本書では原本となる叡山の元三大師百籤だけを収録した。私は戦前に北京及び日本で、戦後に台湾及び韓国で、籤・薬籤及びそれらを収載した典籍を収集した。吉元昭治氏は、戦後に香港・台湾及び日本で籤・薬籤とそれらを収載した典籍・出版物を収集した。


日本では籤はこれまで易占との関係から解説され、江守録輔氏『周易対照観音籤新釈』の解釈書が出版された(昭和七年)。今井博士は、易哲学の第一人者として易学理論を、人間の複合的立体的生活体の理論として研究を進め、その立場から自ら集めた多くの籤の内容を解析しようとしている。吉元氏は、戦後、専門の東洋医薬学の立場から薬籤を取扱い、籤と中国の宗教・道教との関係を考察し、既にその第一次業績を刊行している。


私は、戦前に道教研究の途上で、籤を宗教・道教研究の材料として考究するために収集した。戦後は、母の病症に対する漢方薬の私自身の験証とか、文部省科学研究費による東洋医学の「総合研究」(研究代表者、山崎宏博士)に中国の宗教・学問・技術史の立場から参加した経験を通して、籤・薬籤を中国の宗教と学問・技術(易学及び方医薬学)との連結を示す研究資料と考えて、戦前からの籤・薬籤の収集を進めた。一九八八年には、福井文雅博士と協力して主催した日仏コロックで「日・中宗教文化の交流」の基調報告を担当した時、日・中の宗教における符呪文化の役割に論究したが、その前後から宗教と学問・思想・技術の関係を歴史の上で究明し、両者の結合を、収集した籤・薬籤の内容及び形式の研究によって明らかにしようと意図してきた。


私どもの研究を進めるためには、先ず第一に籤・薬籤の作成された年代及びその歴史的諸条件が明らかにされねばならぬ。この点については、本書の解説の部分で、二種の代表的籤については概略のことは明らかにしたつもりである。しかし、その他のものについてはすべて明らかではない。ただ南宋以後に種々の籤が次々に各地で作られたであろうとか、薬籤については明代以後に作成されたであろうとか言えるだけである。


とにかく、私ども三学者の意図する籤・薬籤の研究は、その緒についたばかりである。この際、斯学の第一線の学者に私どもの集めた資料を公開し、諸賢の研究参加を期待して、本集成書を刊行する次第である。


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編者紹介
酒井忠夫(さかい ただお)
筑波大学名誉教授、文学博士
『中国善書の研究』(1960年、弘文堂)など
今井宇三郎(いまい うさぶろう)
筑波大学元教授、文学博士
『宋代易学の研究』(1958年、明治図書出版)など
吉元昭治(よしもと しょうじ)
順天堂大学講師、医学博士
『道教と不老長寿の医学』(1989年、平河出版社)など

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